意味不明人間の朗らかな破壊

2013年末から書いてる、三流脚本家の与太話。完全不定期で更新。一方通行の近況報告。

Log://20210713

『嫌なら創作を辞めればいいじゃん』


大切だった、好きだった人からの言葉が、今でも深く刺さり込んだガラス片みたいに、胸を突き刺している。そしてきっと誰かは、そんな人の事を「酷いやつだ」って思うかもしれない。

けど、僕はその人のことを「酷いやつ」だって思って欲しくない。だって、そんな言葉を言わせてしまったのは、僕のせいだから。

ずっと僕は自分の事を「出来損ない」「偽善者」って言う言葉で片付けてきた。きっと他に言い表せる言葉があるのかもしれないけど、もうそれしか言い表せる言葉は、僕の中にはこれしかない。


「優しい奴だ」「お人好しだ」って言われる事が多い奴だった。とにかく虐められないために、みんなに好かれたかった。だから、皆が喜びそうな事をやった。けど、それが報われることは無かった。そして、そんな僕を取り巻く環境は、それからどんどんと変わっていった。


パチンコに没頭して借金を抱えた親父のせいで、親が離婚した。

新しい土地で頑張ろうと思っていたのに、環境に慣れなかった母さんの半ば八つ当たりにも似た怒声が、僕を出迎えた。

孤独に耐えられなかった親父が、その土地に引っ越してきて、僕は面倒になりたくなかったから、母方の祖父や祖母や母さんに説明して回った。

そんな親父が、その土地で僕の知らない人にストーカー地味た事をして捕まって、母さんがその記事を見てヒステリックになった。

その最中で、遊んでたゲーム仲間の一人の子に告白されて、付き合った。けど、共依存が加速して、その子はそのゲーム仲間のもう一人とも付き合い始めて、多重人格気味だったその子の一つの人格を殺した。そうして、僕は悪者になって、追い出された。実際に誰かを死なせた訳じゃないけど、もう、僕の心はボロボロだった。

そしてそんな中、僕は出来心で艦船擬人化をやり始めた。ある人がやってるのが楽しそうで、やりたかったから。


楽しかった。

ただただ楽しかった。

知らない世界が広がってた。

本当に楽しかったんだ。


けど、そのうち無くした自意識が「見てくれ」って騒ぎ出した。僕はその「自意識」っていう名の怪物と戦わなきゃならなくなった。

そうして自分対自分の戦いを『孤独前線』なんて名付けて、独りの戦いを始めた。疲弊して、もう精神は掠れて、いつしか僕自身が怪物に成り果てた。


たくさんの人を傷付けた。

たくさんの人を怒らせるようになった。


それでも、支えてくれた人が居たんだ。

「一緒に頑張ろ」って言ってくれた人が居た。

最後まで味方で居ようとしてくれた人が居た。

その人が、言った言葉が、


『嫌なら創作を辞めれば?』


だった。

 

僕はどうすれば良かったんだろう。

どういう生き方をして、どういう風な人だったら、その人にそう言わせなくて良かったんだろう。

もっと人付き合いが上手で、しっかり謝ることが出来て、何かがあれば色んな人に相談できる様な、そんな人だったら、そう言わせなくて良かったのかな。


そういう「たられば」ばかりが積み重なって、逃げ出して、本当にもう死んでしまいたかった。死ねばいいのにと思った。気付いたら死んでれば良いなんて本気で思ってた。

赤の他人はきっと「構ってちゃん」だとか「メンヘラ」って嗤うんだろうけど、でもここまでの事を全部一人で抱え込まざる得なかった奴が、それでも一人で笑って生きろって言うのか。そういう言葉を吐かずに、思わずに生きろと言うのか。それならこの世界ごと消えた方が良いんじゃないか、そう思ってた。


そういう中で出会ったんだ。あの作品に。報われなかった作品たちが、燻ってたわいが、世界に復讐出来ると思った。

そうして僕は、一個一個準備を進めた。そして何も知らないながら、それでも足掻いた作品が出来た。そしてそれは、僕の思っていた以上の評判を鳴らした。

適当な仕事はしたくなかった。だから僕は次の一手を打つために、次々と情報を漁ってその度に出来た弾を撃ち続けた。それはまるで、誰も傷つかない八つ当たりのように、僕は狂ったように作品を書き続けた。

そんな作品を「好きだ」と言ってくれる人が増えた。真正面から受け止められる事が、ようやく出来るようになった。だから、走り続けた。起死回生の、千載一遇の機会だと思って、忘れられないように走り続けた。


そうして今日、ここに辿り着いた。

結局僕の孤独は変わらなかった。だって僕は変われなかったから。

だけど、僕が言う言葉は「死にたい」から「生きたい」になった。今の僕だから言える言葉がたくさん増えた。苦しい日々ばかりだったけど、それだけが今の僕の唯一の誇りだ。


どうせまた苦しい日々が続くんだろう。悩み続ける日々が続くんだろう。

でも、そういう時に照らすちっぽけな光を、今日まで生きた僕が作り続けるのだ。少なくとも、今の僕なら出来ると信じている。それが、今の僕にとっての小さな希望だから。