僕は、誰かの中に生きる、誰かになりたかった。
存在意義をただ探し求めて、生きる意味を探して、
僕が僕でいられる場所を、少なくとも誰かに馬鹿にされない空間を探していた。
素で笑い合える仲間が欲しかった。ずっと一人で閉じこもっていたから。
だから、初めて傍に居てくれる人を見つけた時、本当にうれしかったんだ。
初めて、僕を見てくれる人が居たから。
どんなに努力したって報われなかった僕が、初めて報われた瞬間だったんだ。
辛い日々の先には、きっと明るい世界があるんだ、それを味わった、高校一年。
それから5年後。
僕はいつの間にか暗いどん底にいた。
仲良かったあの人は、どこかに消えてしまって、
仲良くしたかったあの人は、自分の性格のせいで、離れてしまって、
終いには、僕を支えてくれていたあの子は、いつの間にか他の人の元へ移っていて。
何にもなくなっていた。
まるで、散々泣きわめいては壁に頭を打ち付けていた、中学三年のあの日々のようだ。
僕には何にもない。
何をする力もないし、誰かの為に出来ることなんてなんにもない。
僕はいつだって、誰が何と言おうが無力で、只の“偽善者”だ。
ただ一つ忘れないで欲しいのは、
君が孤独で泣いている夜、
辛くて泣いている夜、
死にたくて泣いている夜に、
同じように死にたがり屋で寂しがり屋な奴が、同じように泣いている奴が居ることを。
別に、「君は一人じゃない」なんて有り触れた言葉を言う資格は僕にはないが、
どうか一人でも良い。
繋がっていなくても良いから、僕と一緒に乗り越えてはくれないか。
朝にはきっと僕は21歳の、出来損ないの人間に戻ってしまうだろうが、
どうか今だけは、苦しんでいた中学三年の夏に居させてくれ。
あの日苦しんでいた僕の頭を、精一杯撫でて、
「辛い中、誰の味方もいない中で頑張って偉いよ」
そう言ってやりたいんだ。
どうか、どうか。